招待講演

室伏 俊明 先生(東京工業大学)

題目:形式概念分析入門

概要:形式概念分析 (Formal Concept Analysis)は,1980年代にドイツのWilleが始めた質的なデータ分析技法であり, 文脈表と呼ばれる2値(○と×)の表から,概念束と呼ばれる束を生成し, そのHasse図から階層的なデータ構造を読み取るものである. 講演では,その初歩の初歩を簡単に紹介する.


彌冨 仁 先生(法政大学)

題目:機械学習技術を用いた医工連携・農工連携 〜deep learningの威力

概要:近年deep learning技術が優れた成果を挙げ脚光を浴びている。本講演では、我々の医工連携・農工連携の成果について、皮膚画像を用いたメラノーマ(悪性度が極めて高い皮膚がん)の自動識別ならびに、植物の葉の写真を用いた植物病の自動診断を中心に紹介する。前者は、数値上皮膚科医と同等の識別精度を実現し、世界中の皮膚科医向けに自動診断支援システムとして2004年よりインターネット上に公開している。後者についてはdeep learning技術の活用により、キュウリの葉の写真を撮るだけで、4種類のウイルス病と健全株を9割近い精度で識別できるシステムを構築できた。これらを例題として、これまで成果を挙げてきた既存パターン認識の枠組みと、deep learning技術を応用した場合のシステムの設計思想、構築手段、また精度について比較検討を行う。


渕田 孝康 先生(鹿児島大学)

題目:高次元空間における疑似ボロノイ図の提案と評価(A proposition and estimation of pseudo Voronoi division)

概要:空間を勢力範囲に分割する方法としてボロノイ図は広く応用されており、さまざまな種類のボロノイ図も提案されている。しかし、2次元空間における通常のボロノイ図でさえ、母点数が増えてくると作成は困難となり、ましてや空間の次元数が高い場合、その作成方法はトリビアルな手法を除いては有効な方法がないのが現状である。そこで本研究では、高次元空間における疑似ボロノイ分割を提案する。疑似ボロノイ図とは空間内の特定の領域に限定してボロノイ分割がなされているような図のことである。計算機シミュレーションにより実際のボロノイ図と疑似ボロノイ図との精度の評価と作成時間の評価を行う。