招待講演
萩原 将文 先生 (慶応大)
題目:脳型コンピュータに向けて
概要:LSI技術は飽和することなく発展し続けています。例えば、通常のPCにも搭載されているIntel Core i7には7億以上のトランジスタが含まれています。脳細胞と1つのトランジスタの機能が同じとは言えませんが、少なくとも数で比較すると、わずか20個のLSIチップ中のトランジスタ数とヒトの脳のニューロン数が匹敵する状況になっています。ニューラルネットワーク研究が注目され始めた頃は、脳型コンピュータは夢物語でしたが、現在はまさに実現が十分可能な状態になっています。社会的にも先進諸国での人口減少を考えると、脳型コンピュータの実現は急務です。しかしながら、そのための研究は十分とは言い難いです。ここでは、認知科学と人工知能、工学からのアプローチについて紹介し、最後に筆者の研究室での研究例を紹介します。
柴田 克成 先生(大分大)
題目:あめとむちで知能を作る?
概要:知能ロボットは本当に賢いんでしょうか? ロボットを人間や生物のように賢くしたいと思えば,「人間や生物の脳が行っている機能を調べ,できるだけロボットに知識として与える」というのが当たり前のアプローチでしょう。これに対し,「超並列で柔軟なマシンである脳が行っていることを完全に理解することは不可能である」ということに気付き,「ロボットに自分で根本から学習させる!」というアプローチをとることの重要性と可能性を説きます。そして,その立場から強化学習とニューラルネットを用いてロボットやエージェントに簡単な認識,記憶,コミュニケーションなどを学習させたデモを紹介します。
(参考文献)
柴田克成,「強化学習とニューラルネットによる知能創発」,計測と制御, 48号, 1巻 (特集:高次機能の学習と創発 ―脳・ロボット・人間研究における新たな展開―), pp.106-111 (2009)
講習会
市村 匠 先生 (県立広島大)
題目:SNS講習会〜動画コンテスト〜
日本知能情報ファジィ学会は、「あいまいさを含む全方位から知能の解明、実現、応用に対して科学的に挑戦する学会」です。また、自然科学・技術にとどまらず、人文・社会科学の分野も包含し、領域横断的で、知能に関わる様々な研究・技術・環境の変化を先取りする努力を続けています。2011年度に、ソフトコンピューティング、人間共生システム、ウェブインテリジェンス、認知科学、意思決定の5分野をコア分野と位置づけ、さらなる変化を遂げ生まれ変わりました。
この度、日本知能情報ファジィ学会では、会員の研究活動を積極的に支援するため、独自にSNS(ソーシャルネットワークサービス)を開発し、2011年4月1日に運用を開始しました。本講習会では、SOFT SNSの機能や活用法について説明します。また、動画コンテストを実施しますので、その内容についてもお知らせします。