招待講演
白濱 成希 先生(下関市立大学)
題目 「VASを活用した主観評価と分析について」
主観評価は人間の感性を理解する上で重要だが、従来のリッカート尺度では細かな違いの把握が困難だった。本研究ではVisual Analog Scale (VAS)を用いた新手法を提案する。VASは高解像度で直感的な評価を可能にし、小サンプルでもトレンド把握ができる利点がある。スマートフォンアプリとクラウド集計により実用性も向上した。数理モデルとして感性刺激空間から主観評価空間への写像を用いた感性評価モデルを構築し、計算機による感性理解の新たな可能性についても述べる。この手法は感性工学、マーケティング、ヒューマンコンピュータインタラクションなど幅広い分野での応用が期待される。講演では最新の研究成果を紹介し、主観評価の未来について述べる。
中嶋 宏 先生(日本知能情報ファジィ学会会長、東京都立大学)
題目 「インテリジェンスの分類と応用」
私たちの普段の生活には既に多くのインテリジェント・システムが埋め込まれている.インテリジェンス自体を定義することは難しいとされるが,それらを分類することで特徴を見出すことおよび,その応用を語ることはできると考える.本講演では,インテリジェンスをそのソースに着目し,テキスト・インテリジェンス,ヒューマン・インテリジェンス,データ・インテリジェンス,ネイチャー・インテジェンス,ソーシャル・インテリジェンスに分類し,それらの特徴を簡単に示すとともに各インテリジェンスの統合・融合についての研究事例を示す.
亀井 圭史 先生(西日本工業大学)
題目 「人工知能・人工生命の社会実装による現場DX化」
近年,急速な人工知能(AI)の発展に伴って「AIを使いこなす」ことが重要であると言われている。しかしながら,現状のAIの使用法の多くは画像認識や生成AIによる文章や画像生成であり,製造業や農業などの第1,2次産業への応用は進んでおらず,人手不足と言われている分野で活用ができていない。これは,第1,2次産業従事者数の減少に伴って若年人口が減り「デジタルディバイド」が起きていること,また,特に製造業においては「AIのブラックボックス化」により製造ミスが発生した場合に原因が説明できないことが原因である。そこで,製造現場等におけるAI応用=AI社会実装について,AIのブラックボックス化を問わない研究事例および説明可能AIによる判断根拠を明確化した研究事例を示す。また,人工生命による現場最適化事例についても示す。